第43話
最終ラウンドも、貴子と杏奈は接近戦で打ち合った。終了20秒前、レフェリーが再び試合を中断させた。杏奈のキズの状態が思わしくなかったからだ。レフェリーとコミッションドクターとの間で試合を続けるかどうかを判断するため杏奈のキズの具合を見ていた。
「試合を止めましょうか。」
とのことをレフェリーが言い出したので、杏奈は、
「もうあと少しですから、最後までやらせて下さい。」
とコミッションドクターに頼みこんだ。杏奈の強い熱意からレフェリーは試合を再開させた。貴子と杏奈は試合終了のゴングが鳴るまで打ち合いを続けた。試合終了後、貴子と杏奈は、お互いの健闘をたたえて抱き合った。試合の結果は判定となり、3人のジャッジ全員が貴子を支持。判定勝利をおさめた。戦い終わった2人は再び互いの健闘をたたえて抱き合った。
「いい試合だったよ。最終ラウンドのドクターチェックの時は、もしかしたらTKO負けを宣告されるかもしれないと覚悟を決めていた。次にドクターチェックがあったらTKO負けと思い、最後の力を振り絞った。最後まで戦えてよかったよ。お互い、また、がんばろうね。」
と杏奈は言って、リングから引きあげていった。貴子が控室に戻ると、
「次はタイトルマッチになる可能性が強そうだから、また勝ちに行こう。」
と、原島会長が言うと、
「はい。もし、実現したら絶対にベルトを獲ることができるようにがんばります。」
と貴子は答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます