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最終ラウンドも、貴子と杏奈は接近戦で打ち合った。終了20秒前、レフェリーが再び試合を中断させた。杏奈のキズの状態が思わしくなかったからだ。レフェリーとコミッションドクターとの間で試合を続けるかどうかを判断するため杏奈のキズの具合を見ていた。

「試合を止めましょうか。」

とのことをレフェリーが言い出したので、杏奈は、

「もうあと少しですから、最後までやらせて下さい。」

とコミッションドクターに頼みこんだ。杏奈の強い熱意からレフェリーは試合を再開させた。貴子と杏奈は試合終了のゴングが鳴るまで打ち合いを続けた。試合終了後、貴子と杏奈は、お互いの健闘をたたえて抱き合った。試合の結果は判定となり、3人のジャッジ全員が貴子を支持。判定勝利をおさめた。戦い終わった2人は再び互いの健闘をたたえて抱き合った。

「いい試合だったよ。最終ラウンドのドクターチェックの時は、もしかしたらTKO負けを宣告されるかもしれないと覚悟を決めていた。次にドクターチェックがあったらTKO負けと思い、最後の力を振り絞った。最後まで戦えてよかったよ。お互い、また、がんばろうね。」

と杏奈は言って、リングから引きあげていった。貴子が控室に戻ると、

「次はタイトルマッチになる可能性が強そうだから、また勝ちに行こう。」

と、原島会長が言うと、

「はい。もし、実現したら絶対にベルトを獲ることができるようにがんばります。」

と貴子は答えた。

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