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翌日、碧は夏休みの和歌山への旅行の写真行程についての打ち合わせを春樹とするため、春樹の家へと行った。碧が春樹の家に着いたら、ちょうど春樹の母親が仕事に出かけようとしていた。
「はじめまして、久本先生。おじゃまします。」
と、碧は春樹の母親にあいさつをした。
「これから、補習授業をしに行ってくるから、留守番頼むよ。」
と言って春樹の母親は出かけて行った。
「春樹先生のお母さん、西野高校の英語の先生だってね。オレの中学時代の友達から聞いたで。話によると、久美子先生(春樹の母親)も、鉄道好きだってね。西野高校のテニスコートは、鉄道の線路沿いにあって、そこの高校のテニス部のヤツらは、練習中に電車が通りかかると、手振ったりしているヤツもいるんだぜ。」
と、碧が言った。
「オレも文化祭で何回か行ったことがある。そこから電車が見えるということも知っている。」
と、春樹は答えた。
「オレは2泊3日の予定で行くこととなるが、出発日の当日はプロボクシングのイベントが大阪で行われる予定になっており、女子フライ級のアマチュアエリートの藤川奈々が試合に出場の予定になっているので観戦したいから、午前中に新幹線で大阪へ移動して、午後は大阪でボクシング観戦をしてから、和歌山へと移動するプランにしたいけど、どうだい。」
ト、春樹が提案した。それを聞いた碧は、
「この計画でのプランだと箕島に着くのは夜になるから、箕島への到着時刻に合わせて伯父さんに迎えに来てもらおうかな。それで、いいよね。」
と提案すると、
「そうしようか。」
と、春樹は答えた。
「それじゃあ、2日目以降に貴志川へ行く計画になるんだね。」
と、春樹が碧に聞くと、
「そのつもりでいるよ。おそらく、2日目に串本へ行って、串本からの帰り道に御坊へ立ち寄って紀州鉄道への乗車の予定としているので、駅長ネコに会えるのは3日目になると思うな。」
との回答となり、そのまま話もまとまった。
春樹と碧が和歌山へ出発する日の朝、春樹の家の近くの最寄り駅で、春樹は有美子と偶然にも遭遇することとなった。
「これから仕事なんだ。」
と、春樹が有美子に聞くと、
「そうよ。これから仕事。今日は仕事が終わってからジムにも立ち寄る予定なの。私、29日に後楽園ホールで吉見貴子の前座で出場の予定なの。この試合に勝つとB級へ昇格する大事な試合だから、絶対に上がりたい。」
と答えた。
「今度の試合は大事な試合だよな。がんばれよ。」
と春樹は有美子を激励した。春樹と碧は、その日のうちに大阪へと移動。大阪で日本フライ級ランキング2位の藤川奈々の試合を観戦となり、当日の試合は2ラウンドKOで藤川奈々が勝利となった。春樹と碧は3日間の旅の行程の中で、碧は鉄道研究部との約束となっていた和歌山電鐵貴志川線の貴志駅の駅長ネコのニタマの撮影を終えると、この日が春樹との2人旅の最終日のフィナーレとして大阪の難波から三重県の松阪までの間の区間を近鉄特急のビスタカーで移動すると、碧は松阪からは亀山経由で箕島へと戻る計画となっていたため、松阪で春樹は碧と別れることとなった。松阪駅のホームでの別れ際に、
「碧君。今度、一緒に旅をするのは月末の鉄道研究部のメンバー達との旅になるな。和歌山の碧の祖父母と伯父さんと伯母さんに2日間家に泊まれせてくれてありがとうと言っておいてね。出発するの朝早かったから言えなかったんだ。よろしく頼むよ。」
と春樹が碧に伝言すると、碧の乗った列車は亀山方面に向けて動き始めた。
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