第35話

翌日、貴子は所属先の原島ジムの方に練習にやって来ると、会長室の方に呼ばれた。

「大西ジムの方の練習はどうだった。もっと強くなりたいだろ、たかちゃん。」

と原島会長から言われて、

「はい。」

と貴子は答えた。

「昨日、たかちゃんが練習に行った大西ジムの大西会長。実は、ミニマム級の元世界チャンピオンの大西秀行なんだよ。オレは世界チャンピオンになることはできなかったけど、ボクサーは、みんな世界チャンピオンを目標に日々がんばっている。オレだって、大西のところに負けないくらいのいい選手を育ててジムを大きくしたい。誰もが、そう思って、選手を育てていくんだ。そうそう、忘れてたよ。たかちゃんの今度の試合の対戦相手が決まったんだ。試合日は8月29日、東京・後楽園ホール。対戦相手は三井秀美。8回戦での試合だから、しっかりスタミナつけておけよ。」

「ありがとうございます。」

次の試合が決まって、貴子は原島会長に礼を言った。

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