第14話

クリスマスの日。当日は、貴子たちの試合当日。前日の計量にパスした貴子と麗香と真理奈は、試合会場へと向かっていた。一方、春樹は、睦との電話で待ち合わせしていたところで、睦と春菜と娘の奈々子と落ちあった。春樹は、昼ごはんを、いとこ夫婦と一緒に食べることとなった。その中で、

「なあ、春樹。今日、オレがケイタイを春樹にプレゼントするよ。」

「本当に買ってくれるの。」

「約束だろ。買ってやるって。何で、お前を呼んだと思う。携帯電話の通話契約をめぐる問題で本人確認が必要だからなんだよ。身分証明書が必要なんだろ。」

「そのことについてだろうと思ってたよ。学生証、持ってきたで。」

「知っとったか。じゃ、話が早い。」

と携帯電話のパンフレットを春樹に見せていた。

「どうして、保育士になりたいと思ったんだ。」

「実はオレ。いじめられっ子だったんだよ。携帯電話を使ってのイジメで自殺した例もあったし、詐欺等の被害に遭った事例もある。と、うちの両親から聞かされた。うちの両親は、携帯電話を持たさないことで、イジメや詐欺等の被害に遭わないようにできると思います。思っている。オレから見ると一種の対処療法でしかないと思う。それに、パソコンだって、家に1台だけあればいいという考え方だから。友達のほとんどが、高校生で携帯電話を持っていた中、持っていなかったのはオレを含めて2人だけだった。友達からは再三にわたって、「ケイタイ持てよ。」と言われた。だけど、今までずっと持つつもりはなかった。「欲しい。」と言っても、ケイタイだけは、教育上良くないから買わないとかたくなだった。今ドキ、ケイタイもパソコンも使わなくて、おまけに運転免許証を持たずに能力職でできるものはあると思う?そんな中、ふと気がついた。就学前の子供は、まだ学校で文字も習っていない。文字が読み書きできなければ、当然、ケイタイメールやパソコン使えるわけないだろ。子供の教育のことについての相談のやりとりだって、就学前の子供を預かる保育士や幼稚園の先生の場合はケイタイやパソコンを使っての場合、保護者を通じてということとばるだろ。それに子供も好きだから。特に、男の子おもしろいから。だから、そういう仕事を就職先に選んだんだよ。」

「そういう理由(わけ)だったんか。確かに、お前の言う通りかもしれん。定義付けで考えたら、そうだろうね。昼、食べ終わったらケイタイ買いに行こう。なあ、春樹。」

「睦にいちゃんにケイタイのことについての相談があるけど。ここ最近、ケイタイメール等で出会い系サイト等でのトラブルが結構多い。とニュースや新聞で報じられていたけど、もし、そんなのに引っ掛かったらと思うと不安なんだよ。」

「もし、そんな問題があったら、警察や消費者センターに相談するのも1つの手だと思うよ。まずは、オレや両親に相談すればいいよ。基本として、よほど必要な用件がない限り、ケイタイは使わない方がいいと思う。オレからのアドバイス。」

春樹たちは、昼ごはんを食べながら、携帯電話やパソコンのことについての話で盛り上がっていた。すると、

「話をしているうちに、もう3時近くになってきたよ。会場の開場時刻は午後5時だよね。じゃあ、もう出ようか。」

と睦が言い出し、レストランをあとにした。

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