8

第13話


 貴子の試合の日時が正式に決定した。12月25日に東京・後楽園ホールで行われることが決定した。メインイベントは、麗香の初防衛戦で、昨年12月に行われた試合で、貴子と対戦して惜しくも敗れたマナミが対戦相手に決まった。

 一方、麗香の行った高校のサッカー部は高校総体全国大会へ行っても続き、初戦では過去に度々全国制覇を果たし、Jリーグクラブユースチームも参加する高円宮杯でも過去に日本一になった実績がある西日本最大のサッカーの名門校の福岡県の天神学園と対戦して前後半35分ハーフの後半35分過ぎて1分後のアディショナルタイムにコーナーキックからセンターバックの片倉圭がヘッドで押し込んで先制点を入れて、これが決勝点となって1-0で勝利となり、全国屈指の西日本を代表する男子校の強豪校の天神学園を相手に大金星をあげて、試合開始前はゴールショーで惨敗するのではとの不安を口々に言いながらも、ゴールキーパーの桜井亘が赤い彗星こと天神学園のシュートを度々止めてチームを救い、最後は片倉の決勝点で大いに盛り上がりましたが、次の2回戦でも天神学園と同様に高円宮杯で日本一になった経験がある東北を代表する強豪校の青森県の緑丘を相手に前半から次々とゴールを決められてしまい、最終的には0-8の大差での敗戦の屈辱を味わう形で2回戦敗退に終わった。しかし、緑丘との試合での8失点での惨敗の屈辱を胸に、全国高校サッカー選手権愛知県大会でも好成績を残して決勝戦まで勝ち上がり、豊田スタジアムで開催された決勝戦では武豊明青学園を相手に1-0で勝利して全国大会出場が決まった。サッカー部の全国大会出場が決まり、石原先生から麗香のもとに1通のメールが舞い込んだ。



 豊橋城東学園高校サッカー部

 全国高校サッカー選手権愛知大会 祝・優勝


 石原雅仁



 12月25日に初防衛戦が行われることが決まった。対戦相手は江藤マナミ。かなり、キツイ相手。タイトル防衛目指しがんばります。


 麗香



 12月25日に試合か。2学期の終業式が12月22日だから、その翌日に豊橋を出発。クリスマスイブには東京・中目黒学院と練習試合をすることが決まっているから、その翌日だから、サッカー部を連れて応援に行くぞ。


 石原雅仁




 というメール交換があった。


 一方、真理奈と春菜は春樹を通じて仲良くなり、ここ最近は一緒に食事に行ったりと親交を深めていた。ある日のこと、2人はクリスマスに開催予定の試合のことについてメール交換していた。



 12月25日のイベントの3試合目の女子ミニフライ級4回戦に出場するから応援に来てね。


 真理奈



 ありがとう。春樹にも報告するよ。


 HARUNA




 とのやりとりがあった。実は、真理奈とメール交換している春樹は、携帯電話もパソコンも持っておらず、真理奈とのメール交換をネットカフェのパソコンから送ったり、友達のパソコンを借りたりして送っていた。もし、春樹が両親に、「パソコンが欲しい。」と言っても、「教育上良くないから買わさない。」と言うに決まっていた。もう、そのことについては、睦は既に知っていたので、クリスマスが近づいてきた頃、春樹のところに電話をかけた。

「もしもし。睦だけど。春樹か。」

「あっ、睦にいちゃん。春樹だよ。」

「就職祝い。まだだったよな。どうせ、おまえの両親からの就職祝い、携帯電話やパソコンではないだろ。」

「オレの親が、そんなもん買うと思うのか。保育園の先生になるんだぜ。あり得ないで。絶対に、あり得ない。」

「だろうな。それでだ。これから先、仕事するにあたって、ケイタイ持っていたほうがいいと思うで。冬休みは戻ってくるよね。」

「戻ってくるよ。クリスマスイブに。翌日、友達の試合があるから。」

「もしかしたら、春菜から聞いた例の試合か。」

「そうだよ。」

「オレたちも、当日は観戦に行くから、午前11時に水道橋駅で落ち合おうか。昼ごはん食べながら、ゆっくりと話をしよう。」

「そうしようよ。」

という、やりとりが行われた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る