第11話
5月の連休に春樹は1週間ほど横浜へ戻ってきていた。春樹は真理奈との交際を考えてはいなかった。だが、真理奈が無事に理想の男性と結婚してほしいという春樹なりの理想を持っていることで、かなり心配だった。実は、春樹には、8つ年上で春菜という母方のいとこがいて、真理奈と同じように引きこもりを経験した。春菜は、
「中学校卒業して、すぐに結婚したい。」
と両親に言ったが、
「まだ16歳だろ。見合いをさせる気はない。」
と言われてしまい、その時は春樹から見て伯母にあたる春菜の母親が経営するスーパーでアルバイトとして就職する形で、それと同時に通信制高校へと進学することとなった。しかし、高校卒業後も今の生活で悩むこととなり、結婚相談所に名前を登録した。その後、相手を見つけて20歳で結婚した。実は、彼女の旦那の睦は、彼女より20歳も年上なんだ。
春菜の言うところ、
「安定した収入があって、一家を支えてくれる男性だったら、ワタシ誰でもよかった。」
なんて言っていた。もう1つ、春菜が「格闘技をやりたい。」ともし、言ったらどうだった。と聞くと、「ワタシ、絶対にさせてもらえない。」と言っていたもんね。この家庭環境では、お嫁に行く以外なかったんだろうか。うちもそうだけれどね。実際に言ったら、「違う。」と言われると思う。春菜には、今6歳の娘がいるよ。
春樹
とのメールを真理奈に送信した。春樹自身、自分が女だったら、春菜と同じような人生を歩んでいたのではないのか。と一瞬感じていた。おそらく、真理奈と春菜がダブって見えたのだろうか。春樹の、この日のメールは、こんな内容のメールを真理奈と交わした。それから1カ月後、麗香の日本タイトルマッチが行われ、対戦相手のチャンピオンの石田理恵子を相手に6ラウンドTKOで勝利して、麗香は念願の日本チャンピオンになった。ちょうど同じ時期、麗香の行った高校のサッカー部が、名古屋で行われた愛知県高校総体で準優勝となり、全国大会への出場を決めた。
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