クリスマス番外編 ミニスカサンタとバニーガール
俺は今、人生最大の危機?に直面していた。
「ねえ、了君、どう? 似合う?」
ベッドの上で上目遣いの妖しい視線を向けながらにじり寄って来る梨沙姉。
彼女が纏うのは妖艶なる赤。
大胆に肩を露出し、それだけで無く、胸元も大きく開いて、豊かな双丘の谷間が覗いている。
足元は下着が見えるのでは無いかというほど短い丈。
ミニスカサンタ。
その妖艶なるコスプレで、梨沙姉が俺に迫っているのだった。
どうしてこうなった?
ついさっきまで、剛さんや沙耶香さんも一緒に、クリスマスパーティーをしていたはずなんだ。
梨沙姉お手製のケーキを食べて、ノンアルコールのシャンメリーを飲んで……
いや、そんなことはどうでもいい。
今は目の前の事態だ。
このままじゃ、このままじゃ……俺の理性が保てない!
「ねえ、了君。聞いてる?」
「聞いてる、聞いてる。似合ってるよ、凄く」
その言葉に嘘はない。
もの凄く似合ってる。
すごく可愛い。
世にミニスカサンタは数あれど、ここまで可愛いサンタさんはそういないのでは無かろうか。
一方、返事を聞いた梨沙姉は、その蠱惑的な笑みを一層深くした。
「嬉しい。ねえ、了君、今日はクリスマスだよ」
「そ、そうだね」
「だから了君には特別なプレゼントを用意したの」
「特別な?」
「そう、何だと思う?」
ゴクリと唾を飲み込む。
性夜、いや聖夜に贈る特別なプレゼント。
それはあれか、あれなのか?
俺は今日、大人の階段を上ってしまうのか?
「それは、わ、た……」
「待ちなさい!」
その時、大声が響いた。
バンッとドアが開け放たれ、入ってきたのは……
「バニーガール?」
夏月がバニーガールのコスプレで立っていた。
頭にはいつぞやの遊園地で買ったウサ耳カチューシャ。
身体にピッチりとしたバニースーツに足を覆う網タイツが艶めかしい。
いったいどうなってるんだ? どうしてここに夏月が?
混乱する俺を他所に、夏月はズンズンと部屋に入ってくると、ベッドの上に飛び乗った。
そのまま梨沙姉と並んで俺に迫ってくる。
「高科君、早まらないで! プレゼントは私があげるから!」
「あら、なっちゃんより私の方がいいよね、了君?」
「え、えっと……」
ミニスカサンタとバニーガール、二人にベッドの上、追い詰められて、俺は……
ゴチッ!
落ちた。ベッドから。
「御免なさいね、了君。シャンメリーだと思ってたらシャンパンだったなんて」
沙耶香さんの作ってくれた朝食を食べながら、説明を受ける。
俺はシャンメリーと間違ってシャンパンをたらふく飲んで気を失ったらしい。
道理でまだ頭が痛いはずだ。
「取り合えず学校には今日は休むって連絡入れたから、ご飯食べ終わったら寝てなさい」
「わかりました」
「そうそう、梨沙は学校だけど、帰ってきたら楽しみにしてって言ってたからね」
「楽しみ?」
「ええ、昨日、了君が気絶してプレゼント渡せなかったから、今日渡すんだって張り切ってたんだから」
……ええと、プレゼント。それってミニスカサンタのコスプレじゃ無いよな。
今後の展開に冷や汗をかく俺だった。
========
<後書き>
本編と全く関係ない番外編。本編の世界線では起こらないifの世界線での出来事でした。
楽しんでいただけたら幸いです。
さて本編の次回は12月27日(金)20:00頃更新です。
なお、12月27日以降、1月3日(金)まで、毎日更新予定としています。
お楽しみに。
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