第94話

やっと唇が離れ、は、と、大きく息を吸った私のお腹の所から、手を入れてきた男。

ルイとは違うその体温に体が驚き「やめて!」と声を出してジャージの上から掴む。




「な、なんで、なんでこんなことっ」


「別れないから」


「なんで別れないといけないの!?」


「なっちゃんのため」



私のため?

同じようなこと、前にも言ってた。

無理やり抱くことが、私のためだっていうの?

そんなの、おかしいでしょう?!



乱暴に、ジャージと、体操服を脱がされる。

この前は脱がさなかったくせに。

私がずっと暴れるから、ジャージか、体操服か、ミシミシと、どかの糸が切れる音がした。



上は下着姿、下は長いジャージ。

そんな格好にしたヒカルは私を押さえつけたまま、ゆっくりと、舐めるように私の体を見つめてくる。



「マジできもちわるい⋯なにこれ、歯型までついてる」



そう言って下着までとろうとするそいつに、「やめてよっ」と、叫ぶけど。



「こんなにアトつけられてさ、あいつのことおかしいって思わない?なっちゃんなんでそれに気づかない?」


「離して!!」


「うわ、胸も、肌色ねぇよ? アトばっか」



あっという間に外された下着も、床へと、落ちる。



「見ないでっ⋯、やめて⋯」


「だから別れるなら、やめるって」


「ふざけ、っ、やめ、やめてっ、っ、やめ⋯」


「なーに、なっちゃん、俺の指で感じてるの?ルイに仕込まれちゃった?」




指先で、胸の頂点を弄ぶ。



っ、


必死に、ヒカルを睨む。


もう、力では、敵わない⋯⋯。




助けて、ルイ⋯



るい⋯⋯、助けて⋯⋯。

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