第93話

いや、やだ、気持ち悪い。

いつも熱を与えてくれる、ルイの体温じゃない。

また、ヒカルに、抱かれる。

嫌だ嫌だと、必死に両手をつかいヒカルの体を押した。少し動くけど、ヒカルの動きは止まらない。首筋から、顎あたりまで舐めるヒカルは、ちっ、と、暴れる私に、舌打ちをしたあと。



「きゃあっ」



無理やりその場に、しゃがみ込ませたヒカルは、その、男は―――⋯


淡い、綺麗な、明るい目で私に、狙いを定め。




「この前は5分だったけど、今日は50分、あるから」



5分⋯、

あの時の、犯してきた、5分⋯。


体育が、終わるまでの、50、ぷん⋯


やだ、


絶対


なんで、なんで、なの。



「ひか、」


「別れるって言うまで、抱くから」


「や、」



壁と、その男とで挟み撃ちをし、さっきまで顎を舐めていたそれで、噛み付くように唇を塞いできた。それは、激しく、乱暴に。



いつもキスだけで快感をくれるルイとは違い、ただ私の口の中で動く作業をするヒカル。



「ん、んー!!」



それが苦しくて、ヒカルの体を押すけどやっぱり動かない。動いてくれない。

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