第91話

いつもいつも、ルイは私のそばにいる。

だから、忘れてた。

あいつの存在を。

いやで、嫌いな、ううん、大嫌いな存在を。




「別れろって、言ったのにさあ」



いつも一緒にいるルイが、学校にいる時、離れる時がある。それは男女別の体育の時。

ルイの目は、ここに無い。

体操服とそのジャージに着替えて体育館に行こうとした時、私を無理やり抱いたヒカルが、見下しているのか、笑っているのか分からない表情で、私の前に現れた。



ギリギリの時間まで、ルイといたから。

あと1分ほどで授業が始まるその場には、誰もいなく。



なんで、と。


会いたくないのに。



これ以上近づきたくなくて、逃げようとするのを簡単におさえこむのが、力の強いヒカルで。



「離してよっ!」


「でた、ツン」



ツンってなに、バカにしてるの!?



女子更衣室に逃げようとする私の腕を掴み、更衣室の、中にある、シャワールームに私を押し込んだヒカルは、そこの鍵を閉めた。



また、鍵⋯。


この前の、あの時の事を思い出した私は「どいてっ」と、その鍵をあけようとするけど。

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