第89話

―――私の全ては、全部ルイのもの。

ルイはいつもそうやって私と体を重ねた。





そんなルイが、11月、特進クラスに編入してきた。うちの学校は、普通科から特進科へとうつるための10月と3月に編入試験がある。



「奈都がいるから、少し勉強頑張った」



と、笑って私を教室の中で抱きしめる。

いつ間にか、同じクラスになっているルイ⋯。


ルイが来たことによってクラスの女の子たちが、やっぱりかっこいいね、なっちゃん羨ましい⋯と、呟いていた。




授業中、何かの視線を感じ、少し斜め後ろを向けば私と目と合ったルイが、綺麗な顔をしてにこりと笑う。



私を見ていたのはルイらしく⋯。

黒板ではなくずっと私を見ているようなその感覚。



選択授業も、ルイは私がとっているその科目を選んだ。



行きも、授業中も、休み時間も、帰りも。

放課後も、休みの日も。



全てがルイ。


毎日が、ルイ。



私の視界には、いつの間にかルイがいる。

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