第85話

「そう、あんまり、喋らないようにね」



また、やるのか。

私の服に手をかけるルイ⋯。

それを抵抗しないのは、私がルイを好きだから。

またベットに、連れ込まれる。

当たり前のように首筋をなめてくるルイに、その質問をする。


喋らないように。ヒカルと同じで。

分かったと頷くけど。

やっぱり彼の家族だから。

少し、気になって。




「お、弟さんの名前、なんていうの?」



私の胸元にまたキスマークを、ずっと、付け続けるルイは、「⋯弟が、気になるの?」と、さっきまで優しくキスマークを付けていたのに。


少し荒々しく、歯をあてたあと、強い力で吸い付いてきた。



「な、なってない⋯」


「そ、だったら教えなくてもいいよね」


「る、ルイくん⋯痛い⋯」



また、違う部分に⋯肩あたりに歯を当ててくるルイに、瞼を閉じて、彼の上半身にふれる。



「痛くしてるんだから当然でしょ」




そう言ったルイは、何が、いけなかったのか。

機嫌が良かったさっきとは違い、少し不機嫌になっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る