第84話

「⋯え、ど、どのあたり⋯?」



私に対して甘すぎるルイに、狂ったところなんて、ないけど。


また、ちらりと私の方を見た彼は、「⋯逃げ出さないように足、切ってくるかもね」と、なんだか恐ろしいことを言ってきて。



足をきる?

逃げ出さないように?

そう言ってきた彼の方が、私には狂っているように見えた。



「そ、そうなんだ。じゃあ、また、ね」



そそくさとリビングから離れ、ルイの元へ戻る。


笑顔で迎え入れてくれたルイに、狂ったところなんて、ないのに。


どちらかと言うと私を無理やり犯してきたヒカルの方が、狂ってる⋯。



上半身肌のルイに抱き寄せられて。また、頬にキスをするルイに、さっき弟に会ったことを伝える。



「何か喋った?」



すると、突然キスをやめたルイは、少し、鋭い目を向けてきた。


ヒカルの時のように、嫉妬、したのかもと、そう思った私は「軽くだけ⋯」と恐る恐る口にする。

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