第83話

慌てて謝る私に、彼は、顔を傾ける。


私はルイとヒカルの2人兄弟だと無意識に思っていた。それに、彼が着ているのは中学の制服。私よりも、年下のは確かで。

それに、ヒカルよりも。




「ルイくんの、弟さん⋯?」


「そうだけど」



やっぱりそうなんだ、赤い髪。ルイと同じ色。

遺伝なのかと思って、「そうなんだ、ごめんなさい急に」と、ルイの部屋に戻ろうとした時。




「あんたって、あいつの女なの?」と、兄であるルイを、あいつ呼ばわりする弟は、ソファの膝置きをつかい頬杖をついていた。



「あいつって、ルイくん?」


「そう、他に誰がいんの?」



そういえばそうだけど。



「うん⋯」と、頷く私に、彼は「そうなんだ」と目線をそらし、今度こそスマホに目を向けた。



そして言う。



「あいつ、やめた方がいいよ」と。



ヒカルと同じようなことを。




え?と、声を出す私の方を見ない弟は、「あいつ狂ってるし」と低い声をだした。




狂ってる?

ルイくんが?

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