第71話
ヒカルと会っていたから。
ヒカルに抱かれていたから。
⋯移り香⋯。
私がそう思った時、ルイの手が、私の髪を乱暴に掴んできて。「この髪は俺のだって、言ったよね?」と、「俺のための匂いなんでしょ?」と。
「奈都は、嘘つきなの?」
と、冷や汗が流れる私を無視して、ぐっと私を引き寄せてくる。
「ねぇ」
「奈都」
「俺の事、好き?」
好き、大好き。
ルイが大好き。
ルイが1番、大好き。
―――⋯でも、ルイの目が、怖かった。
いつもの甘い瞳の、ルイじゃない。
「⋯あ、たしは⋯ルイくん、だけ⋯」
震える声でそう言えば、ルイはいつも通りの柔らかい笑顔を向けた。
同一人物なのに、ガラリと変わった雰囲気のルイ。
そんなルイはまた、私に鋭い目を向けてきて。
「3度目は、ないよ」
そしたらまた雰囲気が変わったルイは、にこりと優しく笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます