第69話

別れの時、いつも通りのにルイは私の前髪をあげてキスしてこうとしてルイの整った顔が近づいてくる。


あと1センチほどでその唇が額に当たる時、ピタリと、ルイの動きが止まった。


そのままルイは私から離れて。いつも通りキスをしてくると思っていた私は、あれ?という感じで、ルイを見上げた。



ルイの濃い茶色い瞳が、私を見つめていて。

その目には説明しづらい違和感があった。



「ねえ⋯」



ルイの整った口が、開く。



「聞いてもいい?」



ルイの手が前髪から、下の方へとするりと撫で。さっきまで濡れていた髪を、もう一度手に取った。



「⋯え?」



その1束を、ぐしゃりと、手で握り潰したルイは。鋭い目で、私を見下ろしてきた。





「どうしてヒカルの匂いがするの?」

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