第68話

「体調が悪いのに、図書室からすごく離れてるこの場所に、来たの?」



あ⋯。


それもそうだと思った。吐くぐらい気分が悪くなったのに、4階にある図書室と、2階のこことでは距離があるのに。



「は、吐きそう⋯だったから、人が少ない場所⋯選んだの⋯」



咄嗟に誤魔化した嘘に、ルイは「そう⋯」と呟くと、「そういう時は俺に連絡してね」と言ってきて。



「奈都が辛いなら、すぐに行くから。授業中でも。我慢しちゃだめだよ。分かった?」


「ルイくん⋯」


「歩いて帰れそう? もう少し休憩してから帰ろうか?」


「う、ううん、帰れる、大丈夫⋯」


「分かった、無理はだめだからね」


「ごめんね、ルイくん⋯」



ごめんなさい。

嘘ついてごめんなさい。



帰り際、ずっとルイは私の心配をしてくれた。「明日は休むかもしれない⋯」と言えば、ルイは「お見舞いに行ってもいい?」と聞いてきて。


それを拒否れない私は、「うん⋯」と呟き。

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