第67話

数分後、いつも通りのルイが現れた。高身長、肌が白いせいか透明感があるような。遠目からでも分かるほどかっこいいルイは、廊下の壁にもたれている私に近づいてくる。



私の傍に来てくれたルイは、「奈都、大丈夫?」と、私の顔を覗き込んできた。


泣きそうになった。無理矢理とはいえは、私はルイ以外の人と体を重ねてしまったんだから。


黙り込んでいる私に、「顔色、すごく悪いね」と、私の頬を撫でようとする。ルイなのに、大好きなルイなのに、ふれられる⋯と思った私は、体がビクついた。


そんなルイは一瞬、手の動きを止めた後、その指は私の髪へと向けられた。

髪を1束取ったルイは、その髪をマジマジと見つめる。



「濡れてるね、髪、洗ったの?」



髪? あ⋯、さっき吐いた時、口元を洗った時に、一緒に濡れてしまったせい⋯。



「あ、⋯、さっき、⋯吐いて⋯、洗って⋯、その時に濡れた⋯」


「吐いたの?」


「う、ん⋯」


「喉、枯れてる。 いつから体調悪くなったの? 昼休みは普通だったよね?」


「と、しょ⋯しつに、いた時、急に⋯」


「図書室?」



少し、ルイの声のトーンが、変わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る