第66話

「あ、⋯2階の、化学室の、近くの、トイレ⋯」


『化学室? ⋯分かった、今から行くから。熱はあるの?』



今から来る。ルイが?。

こんなにもルイが好きなのに。いやだ、会いたくない。罪悪感が私を支配する。



「る、るいくん⋯いいよ、さき帰って⋯」



だから私は先に帰ってと言った。ルイの顔をいつもみたいに見れないと思ったから。



『何言ってるの?』


「え⋯?」


『毎日、一緒に帰るって、約束したよね?』



けど、ルイはそう言って、『今から行くから、動いちゃだめだよ』と電話を切ってしまった。



―――毎日、一緒に帰ろうね?


私を見てくれると言った日、そういえばそんな事を言われた。あれは約束だったのか⋯。そう思って口元をおさえ、はあ⋯と息を吐く。

イガイガとした喉がズキズキとした感覚に変わった私は⋯、もう絶対ヒカルに近寄らないと決めた。

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