第33話

「いい子だね」



そう言って、耳にキスを落としてきたルイ。

家の前なのに。家の前なのに。

いつ玄関から家族が出てくるか分からないのに。




「ひゃっ⋯」



耳元で呟かれたゾワとした感覚に、小さな悲鳴を上げれば、「⋯可愛い、ほんと」と、また甘い台詞がルイの口から出てくる。




「る、るいく⋯」


「その声、誰にも聞かせちゃだめだよ。俺のだからね」



形のいいルイの唇が、そう呟いた瞬間だった。柔らかいソレが、私の唇が覆った。




ファーストキスだった。



ルイの唇は、すごく、柔らかく。



ちゅ、ちゅ⋯と、それは何度も角度を変えてくる。



もう体が固まって動けない私は、ぎゅっと目をつぶった。

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