第32話
図に乗った私は、家の前で、いつものように前髪をあげ私の額にキスしてきたルイに、「口にはしないの?」と照れながら聞く。
「してほしいの?」
私を見つめるルイが、甘く呟く。
私はその顔だけでとろけそうだった。
「や、あの⋯。しないの、かなって⋯」
ルイは、額ばっかりだから。
照れる私を引き寄せたルイは、私の耳に形のいい唇を寄せる。
それでさえも、胸が高鳴る。
本当にどうにかなってしまいそうで。
「奈都は俺のこと、好き?」
吐息が耳にかかる⋯っ。
ビクッと、体を震わせる私に、ルイは「逃げちゃだめだよ」と、私の背中に手を添えてきて⋯
心臓がおかしくなるぐらいバクバクする私は、「だ、だいすき⋯です」と、震える声で言った。
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