第33話 圧倒的蹂躙である

どうも、多分ドラゴンが母体なてんこ盛りマギリアルと戦闘をしている俺氏でございますわよ。

こいつね、結構厄介なの。てんこ盛りマギリアルだからか、手数がすっげぇ多いんだなこれが。

うむうむ、これだったら良い試しになりそうだな。


まずは…お久しぶりの魔法でも使おうかな。

やーっぱ、一番長く使って、肥料の変化にも使用していた土魔法から使いましょうかね。

[デュアル・マジシャンⅢ]とスキルレベルが上がった[操作Ⅷ]を使い、土の槍の魔法を複数へと複製する。

小手調べ第一弾だし、ちょっと多くしても良いよな。


"30連装・土蝦蟇クアンダリップ・アンダーステイル"


「クオォォン!」


「カイラァァン!」


「オォォォオル!!」


あら、風魔法で打ち消されちゃった。やっぱり魔法で相性不利に打ち勝つのは辛いね。

できなくはないけど、疲労が半端ない。

同じ風魔法で追撃を与えるか……いや、ちょっとは譲ってやろう。

あいつも試したいだろ。


「俺は魔法は使えねぇ。だから、物理で試させてもらうぞ」


"水流拳法・凰牙すいりゅうけんぽう・おうが"


[水属性攻撃]とかのスキルを持ってんのかな。打撃に水属性が乗っている。

俺、ああいう属性付き攻撃を魔法以外でできないんだよなぁ…。

属性付与攻撃系のスキルを習得できるか試してみたけど、駄目だった。


ぁ、てんこ盛りマギリアルが吹き飛んだ。

おー、威力高いな。てんこ盛りマギリアルが着弾したところ、ドデカい魔法を撃ったみたいになってる。

流石阿修羅を三日で習得した人は違うねぇ。


「そろそろ俺も力を出そうか。阿修羅化によって会得した神聖魔力と、元々に備わっている感情ゆえの魔力。その二つは混ざり合う」


両手には紫と白の魔力。それらをガッチャンコすれば……混合魔力の完成って訳よ。

これを魔法に通せば、別威力の魔法として変貌する。


"混合覇道・聖邪カオスクロニクル・ツァトゥグァ"


ふー、大きい魔法を放つとスッキリするな!

最近は鍛錬ばっかだったから、中々大きい魔法を撃てる機会なんかなかったけど……気持ちいぃ!

脳汁ドバドバだぜ!ひゃっほぅ!


え?俺が目の前にいるのに撃つな?

はぁー、ダニス。お前は考えが足りていない。何故俺が悪いなんて事になっている?俺の魔法の進行方向にいたお前が悪い。


あ、ごめんなさいごめんなさい。ちょっとふざけたのは悪いと思ってるから。阿修羅道は勘弁してくだせぇ。

いや、ほんまに。阿修羅道を喰らったら死んでしまいます。

どうにか、どうにかお慈悲を!靴でもなんでもぺろぺろしますから!


「気色悪い。シンプルに地獄に堕ちろ、このアホ」


ダニス、暴言はよくないよ。人を傷つけるってのは最低の行為だからな。

元はと言えば俺が最初?うん、そりゃぁ……そうだよなぁ。


「その話は後にしておいてやる。今はコイツだ」


「なんか新技でも試す感じ? なんで俺に言ってくれなかったんだよ」


「お前に言うと余計な口出しをされる気がした。というか、お前も俺に言ってねぇだろ。あの混合魔力の事」


「ギクッ!」


「はぁ」


わざとらしい声を漏らす俺に、ダニスはため息を吐きつつ、魔力を練っている。

魔法を使うとは訳が違う。魔力を使用しているのは同じだが、もっと根本的なものが違う。

まるで阿修羅のような。


"多人分離・重音身マテリアル・クリチャー"


いやこれ、阿修羅の方向性を変えただけじゃねぇかよ。阿修羅は個の強化だが、これは分身を増やす事での数の強化か。

ほうほう、参考になりますな。阿修羅をもう少しマスターしたら俺も真似しようかな。


「「「究極のコンビネーションを見せてやるよ!」」」


分身体軍団はそう宣言した後、てんこ盛りマギリアルに攻撃を仕掛ける。

あの打撃とか、防御の高さとか、知能。全部が全部、本物と大差ないようにできている。

阿修羅を相当頑張ったあいつだからできる技か。

ちょっと憧れちゃうじゃないの。


てか……あいつの打撃やばすぎだろ。分身ごとに付与されている属性が違う。

何個かは複合があるし、あれじゃぁ手数があっても対応できない。

マギリアル疑惑のある俺よりも化物染みてんなぁ。


くふふ、それでこそ張り合いがあるってもんだよな。

あまり競い合いたがるような性質じゃないと思っていたんだが…ダニスが相手だからか。勝ちたいと思ってしまう。

いや、それは最適解じゃねえ。新技色々試して勝つ。それが俺の唯一の勝利条件だ。


「面白え技だな。だがな、俺だって面白え技を考えてきたんだぜ?」


情熱の炎を獲得し、操作が安定した時、手に入れた能力…[創作Ⅰ]。

この[創作Ⅰ]はスキルレベルが低いというのもあるが、炎以外を作る際、酷い劣化版となって出てくる。

しかし、今は問題ない。何故なら、今の俺にゃ、味は求めていない。ただ、強烈なアルコールを。


「あぁ!クソマジィ!どんな味してんだ、これ」


「まぁ…でも、少しは見逃してやるか。成功だからな」


『スキル[酒酔いⅠ]、スキル[アルコール拳法Ⅰ]、称号[酒豪]、称号[酔わぬもの]を獲得しました』


情熱の炎の応用でアルコールを体に侵食させたが、上手く強化できたみたいだ。

全部を強化に流せなくて、少し酔ってはいるが…動ける範囲だろ。

これで殴られたらどんな反応をするか。今からでも楽しみだぜ。


「どうよ、自己流殴り」


突進からの殴り。くふふ、中々いいパンチを打てたのではないか?めちゃくちゃ威力があるから、とーっても楽しいゾッ!

あー、このパンチをボコスカ放てたら最高に気持ちいんだろうな。

あ、そういえばてんこ盛りマギリアルは…。


うわっ、狼の顔潰れてるじゃん。あれ絶対痛いだろうな。俺だったら叫んでる。

それを我慢しているなんて。偉いでちゅねー。

…あれじゃあ長くは耐えれないか。てんこ盛りマギリアルでも、あそこまでやられたら体力を大きく消耗している。


「でも、あと一つは耐えてほしいな」


「チッ!こっちは試しの為にジワジワと。お前、ディニアの攻撃には倒れんなよ」


"酒剣しゅけん・海落とし"


"天京・螺旋愚流魔てんけい・らせんぐるま"


「だぁぁ!クソ!負けた!」


「クソッタレ、引き分けだ!」


「「え?」」

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