第11話 ステータスである

どうも、吐きそうだけど瀬戸際で止まっている俺氏である。

威圧をされてから親父の執務室に行きましたよ。

この猫さんが頼みたい俺の要件ってのを聞く為に。


「僕が頼みたい内容はねぇ……ある国の暗部がこの国の王女を誘拐する計画を持っているみたいなんだよね。僕はギルドの会長でね、忙しいのよ。だから代わりに君に出て欲しい。どうかな、この提案、受けてくれる?」


あと、この人魔法使いじゃないらしい。

研究ばっかして、腹に黒いもん抱え込んでる魔法使いと同列視するのは失礼かも。

いや、確定で失礼だわ。

魔法使いって全部自分勝手だけど、この人は誰かの為に動いているみたいだし。


しっかし、王女の護衛か。

俺って魔法抜きだと、普通の騎士以下なんだよな。

魔法を使用しての搦手ならまあまあ。

俺ぐらいの魔法剣士ならよく居るよ。


「勘違いをしてもらっては困るよ。僕は今の君には用はない。ステータスを得た未来の君に用があるんだよ」


「ステータスは12からでしょう」


「それを握っているのは冒険者ギルドだよ?特別扱いなんて容易さ。それに、僕が求めているのはステータスを得た君だよ。耐性を得た君なんだ。そうじゃなきゃ、僕は君を欲しがらない」


天下のギルド長ともあろう人がステータスを得た俺を欲しがる、か。

耐性と言い、俺に特殊性があると示唆しているのか?

だとしたらだ。俺にどんな耐性があると言う?

耐性という代物は自身の受けたタイプや種類によって分けられる。


それで俺が耐性ができるまで受けたモノなんて一つも……いや、あるな。

となると、王女様を狙おうとする国は一つしか無い訳だ。


「神聖国家、エクスプリズム、か」


「へぇ、気づくんだね。僕はてっきり教えられないと理解できないのかと思ってた。少しは勘が鋭いみたいだね」


なーにが鋭いじゃ。

俺をその真実に導こうとしてた癖して。

……見極められていた。そう認識した方が良さそうだな。


前言撤回だ。この人、腹に黒いものを抱えてやがる。

考えてみれば当たり前の話。

ギルド長として魔法使いや貴族と接しているんだ。

腹に黒いものを抱えていなけりゃ、貴族や魔法使いに食われてる。


全てを知られるの、よくなさそうだな。

ったく、ここでも嘘で顔を塗りつぶさなきゃいけねえのかよ。


「聖属性耐性。それが狙いですか」


「ステータスを得ていない状態でも、わずかな聖属性を感じれる。神聖国家が相手なら、そうするのが得策だと僕は思うよ。」


「えぇ、私もそう思いますよ。神聖国家エクスプリズムは聖魔法に自信を持っています。それがこのような少年に効かないとなれば、大きな精神的打撃を喰らうでしょうからね」


「それに加えて、聖魔法も加わったらすごいだろうね」


「ふふふ、ご冗談を。私が使用できるとでも?」


アンタは何を企んでんだ、会長さん。

神聖国家エクスプリズムを利用する気か?

今回の種を取り、弱みとして使用するつもりか?

それとも、盤面を整えるつもりか。

どちらにしても、今の状況がズタボロにされんのは変わらない。


どの手を使うつもりだ。

どんな目的を持って行動してんだ。

いや、いい。今は知らなくていい。

どんな方法に出たところで、俺はそれを潰す。

親父の友人だろうが、なんだろうが……俺とミカが添い遂げる邪魔すんなら、潰す。


俺は貴族らしかねぇみたいだ。

だからよ、覚悟して門の前立っておけ。


「それでは、よろしく頼みます」


「うんうん、頼りにしてるよ!」


あぁ、俺も頼りにしてるぜ。

アンタが俺を裏切らない限り、俺はアンタに協力をしよう。


***


吐きそう。冗談抜きのマジもんで。

説明を聞いていても強過ぎる魔力の余韻がまだあるし、ステータスを開放する面の魔力使用でも今までにない使い方だった。


「ディニア様、大丈夫ですか?」


「逆に聞こう。これが大丈夫に見える?」


「……見えませんね」


顔は全体的に青くなり、体は常に吐き気を訴えかけている。

俺の魔力が魔法とは合っていないと知っていたが、ステータスの時までくるか。

もう二度となりたくねぇ感覚だな。


でも、後悔はない。

ミカと添い遂げる為、この王者襲撃は絶対に解決しないとなんだよな。

神聖国家エクスプリズムのを引っ張り出してもくるし、出るまでの鍛錬を重ねた方がよきかな。


「……」


「ディニア様?」


「何でもない。ただ、チクチクとした違和感があるだけだ」


どうしてだ、思考の隅に異物を感じてしまう。

いや、それは本当に思考の隅か?

俺の思考の大半が異物に塗り替えられているのでは?


?!、○々#・まだ、触れるな


+*、〒・%→まだ、気づくな


いや、俺の思い違いだな!

魔法っていう不可思議は世界にあるけど、許容的侵略領域記憶と思考に勝手に入って、勝手にいじるなんて、世界を逸脱しすぎている。

ちゃうちゃう!そんなもんこの世界におる訳ない!


「ディニア様?」


「大丈夫になったよ。ありがと、ミカ。ミカがずっと聖魔法をかけてくれたおかげだ。そういう心配してくれるところ、大好きだぜ。お礼に何でもしてあげる」


「なんでも、ですか……。で、では、き、キスをいただけますか…?」


なんでも良いって言ってるのに、キスをねだってくるの、本当に純粋で可愛いなあ。

そこいらの貴族子女とは大違い。


それは勿論、キスした時にも。

婚約者なってから何回もしたはずなんだけどね。

慣れていないみたい。


「可愛い照れ屋さん」


***


ミカは抱く。一抹の不安を。


ディニアの治り方。それはまるで、歪に縫い合わされた服のよう。

勘だけではない。聖女としての力が言っていた。

創造神と同じ上位存在がディニアを狙っている、と。


だから、ミカは祈る。

万の手を持つ神に助けてもらえるように。


それが悪手だとは知らずに。


____

魔法

・土魔法Ⅳ

・火魔法Ⅱ


スキル

・魔法研究Ⅰ

・デュアル・マジシャンⅡ

・速攻(条件から使用不可)

・聖魔法耐性Ⅲ

・心臓破壊【解放】

・操作Ⅵ


称号

・二重持ち

・遅えよタコ

・初心者よりも下手

・ゴリラ志望魔法使い

・鉄味の努力家

・生き方を変えられし愚か者

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