第91話
「くだらない楽しい話してよ」
すごい無茶振り…
でもこの人の頭にはきっと数え切れないくらいのそれが入ってるはずだから。
「え?」
「いつもしてるじゃんか。あの花はどうとかってやつ」
「失礼なこと言うなよ。……え?なに?俺の話、ずっとくだらないって思ってたの?」
お兄さんは少し驚いた顔をしていて、それがなんだか私には面白かった。
「ちょっとね」
「マジか…」
「でも楽しいが大半!だからお願いっ!」
「……」
「お願いっ!!」
「…はぁ…じゃあ…」
少し納得がいかなそうな顔をしながらも、お兄さんは渋々口を開いた。
「クリスマス近いからクリスマスローズの話でもするかな」
「クリスマスローズ?」
「うん。ちょっと待ってて」
いきなり立ち上がって店内に入ったお兄さんは、一分もしないうちに一冊の薄い冊子を持って戻ってきた。
「えっと———…あ、これ。クリスマスローズ」
そう言ってあるページを開いて渡された冊子には、白くて小さな花がいくつも咲いている写真が載っていた。
「クリスマスローズって、名前からするとクリスマスに咲きそうなイメージだけど実際咲くのは二月から四月とか五月くらいなんだ。ちなみにローズとか言いながらバラ科でもない」
お、エンジンかかってきたな。
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