第87話

「マジで世話がやける」


「頼んでないっつうの」



助けてもらっておいてそんな言い方をした私に、ハルタは体を揺らして笑っていた。



「あ、そういえばハルタ合コンどうなったの?」


「行ってねぇよ。お前来てくんなかったし」


「私のせいみたいな言い方すんな」


「でも俺まだ諦めてない」


「へ?」


ちょうどそのタイミングで電車がホームに入ってきて、私達はすぐにその電車に乗り込んだ。


ハルタは当たり前のようにまた私の背後に立ってくれた。


「諦めてないって何を?」


「クリスマスまでに彼女!」


「あぁ…」


恋人と過ごすクリスマスはそんなに特別なものなんだ。


私からすればいつもの日常と何も変わらない。


そういうの、私には無縁だな。



そう思ったその時、



「いやーーーッ!!!」




車内の少し離れたところから子供の大きな声が聞こえてきて、私は思わずパッとそちらに目をやった。

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