第82話
そのまま何となく真上の男子校生から視線をずらしてみれば、部屋の隅にちょこんといる枯れたスイセンが目に入った。
もう俯いているなんてレベルじゃないくらいに萎れたそのスイセンは葉が茶色くてなんともみすぼらしい姿になっていた。
「はぁっ、はぁっ、…はぁっ、…」
枯れた上にこんな気持ち悪い声まで聞かせて、本当にごめんね。
私は心の中でそう言うと、いつものように両手で耳を塞いで目を閉じた。
しばらくすると、男子校生の動きは止まって私の中にいるソレはビクンビクンと大きく脈を打ち始めた。
私はこの時間が一番嫌いだ。
どんなに強く耳を塞いで目を閉じたって伝わってくる。
終わったならさっさと出て行けよ。
やっぱり涙なんて出なかった。
男子校生が私の中から出て行ってしばらくすると、戸を開け閉めする振動が仰向けになっていた私の背中に微かに伝わって私はそっと目を開けた。
部屋にはもう私しかいなかった。
終わった…
私はゆっくり体を起こすと、部屋の隅に落ちていたパンツを履いた。
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