第80話

———トンッ



私が自分の部屋の戸を閉めた小さな音が聞こえると、その男子校生は私を振り返った。


その顔はやっぱり少し残念そうで、私達の間には変な空気が流れた。


何でそんなに年上とヤりたいんだろう、この人。



「…なんかすいません…」



その変な空気に耐えられなくなった私は思わず謝った。


何で私が謝らなきゃいけないんだろう。


この“俺が求めてるのはお前じゃないのに”感に納得がいかない。


私だって好き好んであんたの相手をするわけじゃない。


てか、お互いがそう思うならもはや私達がセックスをする必要性なんてどこにもないじゃん。


そもそも生理でセックスできないなら口で抜いてあげればいいんじゃないの?



私を差し出す必要なくない…!?



次々と溢れ出てくる不安を頭の中で一つ一つ言葉にしていると、こっちの部屋に来てから何も言わなかった男子校生が体ごとぐるっと回転して私の方を向いた。


やっぱり彼のソレは大きく反り返っていた。


萎えろよ…クソ…



「舐めてくんない?」



人の不本意な謝罪も無視したくせに、やっと口を開いたかと思えば何を上から偉そうに…


私はすぐにその彼に向かい合うようにその場に正座した。



「すみません。そういうのはやってないので」



そう言って私は軽く頭を下げた。


業務的な自分が心底気持ち悪かった。



本当私は何者だよ…



でも、別におかしいことは言ってないよね?

だって舐めて欲しいならお母さんに舐めてもらうべきでしょ?


なんでそこまで私が代行してあげなきゃいけないの?

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