第79話

「じゃ、あとは若い者同士楽しんでね」



お母さんはまた気持ち悪い笑顔を貼り付けると、そう言って男子校生のズボンとパンツを彼に渡した。



「あ、はい…」



男子校生は残念そうな声を出しながら立ち上がると、反り返った下半身を隠す様子もなく部屋から出てきてその場に立ち尽くした私を気にせず隣にある私の部屋に入った。


チラッとお母さんを見ると、もうすでに煙草を咥えてフゥッと白い煙を吐き出していた。



そこに立ったままの私に気付いたお母さんは、戸のところまで膝立ちのまま近づくと私にしか聞こえないような小さな声で「さっさと行けよ」と言って戸を閉めた。




どうすることもできない。




だってもうお母さんは“私には関係ない”みたいな顔で戸を閉めてしまったし、あの男子校生は私が来るのを私の部屋で待ってるわけだし。




ゴムを付けてもらえるだけマシ。



あの臭いクソ豚野郎じゃないだけマシ。



殴られるわけじゃないだけマシ。



減るもんじゃないだけマシ。…




私はこれから始まるその行為のマシなところを必死で探しながら自分の部屋へと足を踏み入れた。


そこには男子校生が部屋の入り口に背を向けるようにして座っていて、今度は自分の右手でソレをしごいていた。






どこが………マシ…?

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