第64話

「だから授業料だってきっちり払ってやってんだろうが!!それ以上に他人のあんたが私に何を求める権利があるんだよ!!!」



その通りだよ、お母さん。


多くを求めちゃいけないよね。


ましてや私のためと言って他人が口を出すなんて、持っての他だ。


ありえないよね。


ついに黙った学年主任にお母さんは、


「帰れよ、鬱陶しい…!!!」


そう吐き捨てるとまた自分の部屋に戻って戸を勢いよく閉めてしまった。



「……」


「……」



私と学年主任の間には重い空気が流れた。



「…まぁこんな感じなんで、面談はやらなくて大丈夫ですよ」



割と普通のトーンでそう言った私に、少し俯いていた学年主任はパッと顔を上げた。



「…また来るから」



「お好きにどうぞ」



大体分かるよね?

絶対何回来たって一緒じゃん。

これの繰り返しじゃん。


それで私がわざわざ聞きたくもないこと聞かされて傷ついて終わりだよ?


コイツは私が前に言ったことを何も分かっていない。




力になれないなら何もしないほうがマシなんだよ。




学年主任は私に気を遣ってか、最後はなぜか笑顔で帰って行った。


私からすればこんな空気になるのももう慣れてるから全然平気なのに。

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