第59話
その日、学年主任がうちを訪ねてきたのは夕方の四時半頃だった。
今日は男は来ていない。
良かった…
インターホンが鳴ったってお母さんは部屋から出ようともしないから、私はすぐに玄関に行ってドアスコープを確認した。
そこには予想通り学年主任が相変わらず高そうなスーツを着て立っていた。
———…ガチャ…
「あ、こんばんは!」
「…こんばんは」
以前の水口の時みたいに、またお母さんに裸で出てこられては困る。
私は前と同じように少しだけドアを開けて顔だけを出した。
「お母さん、いらっしゃるかな?」
「はい…」
「うん、じゃあとりあえず玄関入れてくれるかな?」
学年主任はそう言いながらも、水口と同じように中の様子を覗き込もうと必死だった。
「……」
面倒になった私は、何も言わずにすんなりと学年主任を玄関の中に入れた。
学年主任の茶色の革靴は今日も光っていた。
相変わらず高そうな靴履いてんな…
「えっとー…お母さんは…」
「…待っててください、呼んできます」
私はそう言って玄関に学年主任を残したまま、お母さんの部屋の方へ行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます