“うぬぼれ”

まるで私みたいだ。

若いってだけで、

女ってだけで、

自分にはさも相当な価値があるんだと思い込んでいる。

そんなもの、もうどこにもないのに。

「お兄さん、女子高生好き？」

「え？やめてよ、そんなこと聞くの」

「あ、嫌いなの？」

もう一度お兄さんを見ると、もうお兄さんに慌てた様子はなかった。

「いや、そうじゃなくて…てか、その質問ズルくない？」

「は？」

どこが？

意味分かんない…

「好きじゃないって言ってもなんか失礼だし、好きだって言ってもそれはそれで危ないやつでしょ？」

「あぁ…たしかに」

納得できた私は思わずフッと笑った。

「まぁとにかく話戻すけど、別に手汚くないからね！？てか、俺の方が荒れてて汚いよ。花屋は水を扱うから荒れやすくてさ」

そう言って私の方に両手の甲を見せるようにして差し出されたお兄さんの手は、確かに少しカサついていた。

「しょっちゅう手が濡れるから、ハンドクリームとかマジで意味ない」

「ハンドクリーム？」

「うん」

お兄さんは軽く返事をするとエプロンのポケットから小さなチューブを取り出した。

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