第54話
「花瓶に挿してやってよ」
「そんなものうちにはない」
「細長けりゃ何でもいいよ?」
「細長いものがないんだってば」
てか、細長い花瓶以外の物って何?
そんなものうちにあるわけ無いよ。
「じゃあちょっと待ってて」
「えっ?」
お兄さんはそう言うと、すぐに立ち上がって店の真横にある自動販売機に行った。
何してんの…?
お兄さんはポケットから小銭を出して自動販売機に投入すると、すぐにボタンを押して取り出し口からペットボトルを取り出した。
「何してんの?」
「これもあげる」
こちらに戻ってきたお兄さんはそのまま自動販売機で買ったお茶のペットボトルを私に差し出した。
「このお茶全部飲んで、これ花瓶代わりにしたらいいよ」
お兄さんはもうムッとはしていなくて、いつものように優しく私に笑いかけた。
「それで…長持ちする?」
「うん!あ、でもガーベラに比べると花持ちは短いから、長くても一週間ってとこかな」
「わかった、ありがとう…!!」
「茎がニラに似てるけど間違えて食べちゃダメだよ?毒あるから」
「食べないっつうの!」
「あははっ」
お兄さんはやっぱり笑うと少し子供っぽかった。
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