第41話
「そういや水口は何だったんだよ?」
頭上からハルタの声が降ってきて、私が正面のガラス越しに上の方を見るとハルタとしっかり目が合った。
「学年主任のとこに連れてかれた」
「え?学年主任?何で?」
「援交してんだろって」
「はあっっ!?」
「うっさい…!」
混雑している電車の中にいるにもかかわらず大きな声で驚いたハルタに、私は右肘でハルタのお腹を突いた。
ハルタは「いてて」と言って左手でお腹をさすりながらもガラス越しに私を見ていた。
「あの噂、先生の耳にも入ったらしい」
「あぁ…あの五百円でってやつ?」
「そうそう」
改めて考えてみるとヤバいよね、五百円って。
でも実際の私には五百円の価値もない。
だってお母さんは私の体と引き換えに貰ったお金を私に渡したことは一度もないから。
それで考えるなら、私の価値はゼロ円だ。
価値がゼロ円って…
何で生きてんだろう、私。
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