第40話
「彼氏できたら外出る時間も増えるだろうし。もうすぐ冬休みなのに、ずっと家にいるのはしんどいだろ」
あぁ、そうだ…
もうすぐ冬休み…
「楽しみ見つけたら絶対もっと毎日が楽しくなるよ」
楽しみなら実は一つある。
そのために私は学校を早く出たかったんだし。
「ありがと。でもいい。着て行く服もお金もないし」
昨日得たお金はちゃんと残しとかなきゃ。
来月の定期代だって必要になるし、ヨレてきた下着もそろそろ買い替えたい。
私はクリスマスどうこうなんて言ってられない。
「…わかった。でもエリカいた方が楽しいんだけどなー」
「…って言うよりは、参加したければ女を一人連れて来い的なことでも言われたんでしょ?」
「えっ!?何で分かったんだよ!?」
「大体分かるよ。ハルタ、アホだもん」
私がそう言って笑うと、ハルタも「マジかー」と言いながら笑った。
電車の中は混んでいて、いろんな匂いが入り混じって少し気持ち悪かった。
ハルタはすぐに私の背後に立った。
「気が利くねぇ」
私は真後ろに立つハルタを振り返って見上げた。
「今更惚れてももう遅い」
「あ、それはないから心配しないで」
「おい」
ハルタは膝で私の膝裏を軽く小突きながら笑った。
ハルタは本当に良い奴だ。
こうやって何も言わずに痴漢防止に努めてくれたりもする。
きっとすぐに、汚い私なんかよりももっともっと綺麗な彼女ができるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます