第39話

「みんな好きだよね、そういう異性間交流的なの」


「すんげぇ堅い言い方すんだな」


ハルタは楽しそうに笑った。


「そんなに恋人が欲しいかねぇ」


「そりゃまあクリスマスまでに彼氏彼女作ろうって普通はみんな思うだろ?」


「へぇ…」



よく分からない。


私っておかしいのかな。


そりゃおかしいか。

だってあんなクソ豚野郎に抱かれたんだから。



「合コン行けば、エリカも良いなぁと思える人に出会うかもしれないじゃん」


「求めてないよ」



駅に着いた私達は順番に改札を抜けてホームへ入った。


六時を過ぎた駅のホームには人がたくさんいた。


先に改札を抜けた私を追うようにまた隣に来たハルタは、私の顔を覗き込むように少し体を屈めた。


「でも家にはできるだけいたくないだろ?」


お母さんのことを知っているハルタは、私を気遣うようにそう言った。



お母さんのしていることを知っているのは、ハルタしかいない。


でも、私は自分の話はしていない。


そんなこと、さすがにハルタにも言えない。



「まぁ…」



私の声は無意識に小さくなった。

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