第27話
「え?なに?何やってんの?」
男は不思議そうにそう言うと、私達三人の顔を順番に見ながら先生の横を通って部屋に上がった。
そうか。
今日の交尾合戦は連チャンだったんだ。
だからそんなに機嫌が悪いんだね。
担任はさらに驚いた顔でその男を見ていた。
だってこの男、どこからどう見ても…
「お父様…ですか…?」
いやいや、こいつ馬鹿なの?
「は?俺?いやいや、何言っちゃってんの」
男は馬鹿にするように笑った。
お母さんは「はぁ、」と深いため息を吐くと、もう何も言わずに男と部屋へ入って行った。
あ、始まる———…
依然驚いた顔で突っ立っている担任を、私は無理矢理ドアの向こうへ押しやった。
「もう帰って」
「えっ、あっ、」
テンパる担任を気にせず、私は玄関のドアを閉めた。
それからすぐに、クチュクチュというなんともいやらしくわざとらしいリップ音が私の耳まで届いてきた。
娘の担任が玄関にいようがいまいが始まる交尾合戦。
やっぱりあの女は狂ってる。
裸だったお母さんに何も言わなかったあの男もまた、狂っている。
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