第26話
「…え…?」
担任は驚いた顔で私からお母さんの方に視線を移した。
「コイツの進路とかマジでどうでもいいんだよ!!てかあんたさっきからピーピーピーピーうるさい!!こっちは今猛烈に疲れてんだよ!!担任だか何だか知んないけど勝手に人の家に押しかけて喚いてんじゃねぇよ!!!」
誰よりも大きな声でそう怒鳴ったお母さんに、
「いや、あのっ、」
担任は泣きそうな声を出した。
こんなメンタルの弱そうな新米教師が
生徒の親にこんな言われ方をして
…可哀想に。
「もう帰れよっ!!鬱陶しい…!!!」
「……」
私はずっと黙っていた。
先生、これが私の母親だよ。
どう?
ここに来たこと、後悔したでしょ?
あんた一人の力じゃうちの家庭環境は変えられないよ。
私が今にも泣き出しそうな顔をしている担任を黙って見ていたその瞬間、中途半端に開いていた玄関のドアを掴む手が外側からぬっと出てきた。
その手は、勢い良く玄関のドアを全開にした。
ギッと音がして開かれた玄関のドアに、私達三人はすぐにそちらに目をやった。
そこにいたのは、私も数回見たことのある、この部屋に出入りする男のうちの一人だった。
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