第25話
裸に慣れているからなのか、それを見られることに慣れているからなのか、担任が驚いて唖然としている姿に、お母さんは特に動じたりはしなかった。
むしろお母さんは少し眉間にシワを寄せていた。
「あんた誰」
お母さんはさらけ出された胸を隠そうともせずに、担任に向かって低い声を出した。
「学校の担任…」
私がそう言うと、担任は慌てたようにまた口を開いた。
「っ、あっ、はい!私、エリカさんの担任の水口と申します!はっ、初めまして!エリカさんのおお、お母様でいらっしゃいますかっ!?」
そうやってすぐテンパる。
はぁ…
だから会わせたくなかったのに。
こういう全力な人が嫌いなのは私だけじゃない。
「担任が何の用?」
お母さんも私に似て…
あ、逆か。
私がお母さんに似てるんだ。
「あ、あのですね、えっと…」
口籠った担任に、お母さんはあからさまにイラついた顔で更に眉間にシワを寄せた。
「用がないなら帰ってよ」
この雰囲気にこれ以上耐えられない私は、お母さんが口を開く前に先に担任にそう言った。
「えっ!?いやでも、私担任なのにまだエリカさんのお母様と一度も会ったことなかったし、」
「今会ってるじゃん」
「そういうことじゃないじゃない?ちゃんと話を、」
「別に話すことなんかないでしょ」
「あるよ!?ほら、エリカさんの進路の話とか、」
「進路ってまだ入学してから二ヶ月も経ってないのに気が早いよ」
「そんなことないよ!今からちゃんと、」
「っ、どうでもいいんだよ———…!!」
私達の押し問答に痺れを切らしたお母さんが、遂に大声を上げた。
…あ、そうだった。
交尾合戦直後は機嫌が悪いんだった。
しかも今日はいつも以上にイライラしているらしい。
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