第18話

あの噂は、その迎えに行く時の私を誰かが見たんだろう。



でも、噂の原因はそれだけじゃない。





今でも一日のうち、二回くらいはあの日のことを思い出す。




あの日は梅雨でジメジメしていて蒸し暑くて、朝からずっと雨が降り続いていた。



お母さんのあの言葉は、今でもはっきりと覚えている。




「生理になったんだ。エリカ、頼むよ」





私の体を組み敷いて少しざらついた手で私の腰をぐっと掴んで腰を振る、腹の突き出た昨日のあの男。


名前も知らないあの男は頻繁にうちに来る。


だからあの男は昨日“誰のおかげで”なんて言ったんだろう。



少し毛深くて、太っているせいで胸だってAカップくらいはありそうなほどたるんでいた。



ゼェ、ゼェ、と男から吐き出されるその息は煙草とか加齢臭とか色んなものが入り混じったなんとも言えないような気持ち悪い匂いだった。



その男は言った。



「黙ってないで喘げよ」



喘ぎ方なんて分からなくて、私はまた両耳を塞いで目を閉じて「あー…」とか「うー…」とか訳の分からない言葉を発してた。



何も見たくない。


聞きたくない。




男は私を頭がおかしくなったと笑いながらもしっかりと興奮していて、ちゃんと私の中で果てた。



私の中でビクン、ビクンと脈を打つこの男のモノは、私にしっかりと伝えてきた。



“今、お前の中にいるぞ”と。



そして私はそれをしっかりと感じ取った。



“今、私の中にいるんだ”と。



男が私の中から出て行くと、私のソコからダラダラとこの男の体液が流れ出た。





それが、私の初めてだった。



十四歳。



私は汚れてしまった。

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