第17話

学校はいつものように何事もなく過ぎ去った。


でも、私は何かと視線を感じていた。


私は目立つらしい。

ハルタに言われて初めて知った。



ハルタは「エリカは綺麗だから」と言ったけれど、違う。


そうじゃないでしょ。



あの噂は他校の男子にも広がるくらいなんだから、うちの学校の生徒が知らないわけがない。


私についた“五百円”の価値についてはいまいちよく分からないけど…


でもなんでそんな噂ができてしまったのかも、何となくは見当がつく。


私の家は大通りから少し入り組んだ路地にあって、しかもその家が驚くほどのボロアパートのせいか、うちに初めて来る人はなかなか簡単にはたどり着けない。


地図になんて乗る必要もないような存在の薄さだから、きっと携帯で調べようにもうちのアパートの情報なんて出てこないんだろう。


それくらい、ボロくて存在が薄い。



うちに初めて来る男を駅まで迎えに行くのは私の役目らしい。



もう通算でいうと何十人も迎えに行った。




その中には私とあまり年も変わらなそうな男子高校生も何人かいたのには驚いた。



お母さんは一体どこで男を募っているのか。



お母さんは三十二歳だからまだ若い方だとは思うけれど、私の父親と同じで男は何歳でもやっぱり若い女が良いんだろう。


私が駅まで迎えに行って家に案内して、でも相手をするのはお母さんの方だと知ると男は基本ちょっと残念そうな顔をする。



でも、しっかりと交尾はする。



飢えてるんだね、みんな。



気持ち悪いくらいに。



高校生相手にも体を売ってきっちりお金を受け取るあの女は、やっぱりどこまでもバカで狂ってる。

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