第16話

私達の目の前にいる女子生徒の、ただでさえ短いスカートのお尻の裾が上に折れ曲がっていた。


もうパンツ見えちゃうよ?


それで階段なんか上がったらもう確実だよ?


「私が言うと角が立つからハルタが言ってあげなよ」


「いや、男の俺に言われる方が嫌だろ」


「そう?ハルタ顔は良いんだしイケんじゃない?」


私がそう言うと、ハルタはまた少しムッとした顔で私を見た。


「“顔は”って何だよ、“顔は”って!それにイケるイケないの問題じゃねぇだろ」


「ふぅん」


私達がそんな会話をしている間に、さっきまで目の前にいたその女子はもう靴箱からいなくなっていた。



「あーあ、行っちゃった」


私はそう言ってハルタを見つめた。


「何で俺見ながら言うんだよ」


「だってあれ、階段とか絶対アウトでしょ?」


「俺のせいじゃない」


「まぁ確かにそうだね」


私達は靴を履き替えるとすぐに教室に向かって歩き出した。



まぁきっとうちの学校にも飢えている男子は腐るほどいるだろうから、あの子のパンツが見えたところで誰も困らないか。


むしろ猿どもからすれば、ラッキーだよね?



…いや、そういう問題じゃないか。


本人が嫌だもんね。



……本人が。

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