第15話
でも、こうやって私に声をかけてくるあたり、別に嫌いではないんだと思う。
ちゃんと言ったんだけどな…
また言うしかないか。
「昔々、あるところに」
「もうそれはいいって」
ハルタは呆れるように私の言葉を遮った。
「何回でも言うよ?昔々、」
「何十回も聞いた」
「じゃあ何百回でも」
「いいって!」
ハルタが少しムッとした顔でそう言ったのと同時に、私達は学校の正門を通って校内に入った。
私達はグラウンドの横を抜けた先にある靴箱を目指して歩いた。
ここまで来ればもううちの学校の生徒しか私達の周りにはいない。
「うちの母親の話を聞いたのに、よく私の隣にいようと思うよね」
「エリカとエリカの親は関係ないじゃん」
それが関係なくもないんだなぁ。
ハルタは私がどれだけ汚いかってことに気がついていないだけなんだよ。
靴箱に行けば、沢山の生徒が上履きに履き替えていた。
「ねぇハルタ、あれ見てよ」
私が目の前の知らない女子を指差してそう言うと、ハルタは「うん?」と言いながら私の顔の横に顔を持ってきて、私の指差す方へ目を向けた。
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