第54話
そこにいたのは高校生くらいの女の子二人だった。
待ち合わせ…かな?
「これ昨日買ったばっか」
「えー、いいな〜!私も新しい服欲しい〜」
うん、分かるよ。
私も服欲しい。
今着ているTシャツとスウェットのショーパン以外ならもう何でも良い。
…でも実際に今服を買うお金が入ったとしても、私はきっと服は買わないだろう。
もっと生きてく上で必要なものを…
「今の日払いのバイト結構時給良くてさぁ、———…」
そんな会話をしながら、その子達は繁華街の方へ歩いて行った。
日払いのバイト…!
その手があったか…!!
私はすぐに携帯を取り出して今夜にでも働けそうな日払いのバイトを検索した。
「はぁ……まぁ夜で日払いとなればそうなるよね…」
検索して出てきたのはキャバクラやガールズバー、それからもっといかがわしいようなお店の求人ばかりだった。
それ以外なら警備にホテルの清掃スタッフ…
健全な仕事があるならもちろんそっちがいい。
…でも、その時給の差は三倍以上あった。
ヤバそうなのは論外として、キャバクラやガールズバーならありかもしれない。
それに今日早速働きたいとなれば、そっちの方が働かせてくれそうだし。
もうこの際悠長に選んでなんかいられないわ!!
そう思って私は今いる場所から割と近いガールズバーに電話をかけた。
電話に出たのは優しそうな男の人だった。
「あの、求人を見たんですけど…」
『ありがとうございまーす!まずは面接をして体験入店という形になりますがよろしいですかぁー?』
「あ、はい…あのそれって早速今日でもいけますか?」
『あぁ、全然大丈夫ですよー!面接もそんな堅苦しいものではなくちょこーっとお話するだけですからぁー!履歴書もなくていいんでー!』
なんだ、その終始間延びしたような話し方は…
この世界に足を踏み入れるのは初めてだから分からないけれど、なんだかすごくラフな人みたいで安心しつつもどこかでこの人大丈夫か?と無駄な心配もしてしまった。
電話では名前やこの仕事の経験を聞かれたくらいで、『それ以外はまた会った時にー!』と言われて電話は切られた。
なんか男版カナやんみたいな人だったな…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます