第46話

私は教えてもらった通り、そのまま繁華街へ出て漫画喫茶を目指した。


日曜の朝の繁華街を歩くなんて生まれて初めてだな…



漫画喫茶に到着するまでに、私は道の端に酔い潰れて倒れている人を何人か目撃した。


途中のコンビニでは私より若そうで少しガラの悪い男の集団がいて絡まれたらどうしようと思ったけれど、その人達は私に見向きもしなかった。




…あ、そうだ。


今の私の見た目、かなりヤバいんだった。


おまけに髪の毛もベタついてるし。



あー…早くシャワー浴びたい…






私を助けてくれたあの人のお店から漫画喫茶までは地味に距離があって、その間に私はいろんな人にすれ違った。


私は周りをキョロキョロと見渡しながら歩いていたけれど、すれ違った人の中で私に目を止める人は一人もいなかった。


単に関わりたくないと思われて目を合わせないようにしていただけかもしれないけれど、そのおかげか漫画喫茶に着く頃にはもう私には今の自分の身なりに対しての恥ずかしさはなくなっていた。



だから、漫画喫茶の受付で店員さんと言葉を交わすことなんてもう何の抵抗もなかった。



そんな私は、私が行った漫画喫茶は漫画だけではなくインターネットやカラオケの部屋もあったのだけれど、プランとか利用する部屋とかそれも全部すっ飛ばして恥ずかしげもなく「シャワーと充電器を貸してください」と開口一番店員さんに申し出た。



この店は二十四時間営業で今は日曜の朝だからなのか、「カラオケはいっぱいでインターネットの部屋しか空いてません」と言われた。


全然いいよ。


今はカラオケなんかするような気分じゃない。


とりあえずシャワーを浴びて携帯を充電できれば文句ないんだから。




そんな私が指定されたのはインターネットと書かれた部屋の中の小さな一室だった。


一室と言っても両隣とは壁で仕切っているだけだったけれど、リクライニングもできるフカフカの椅子にパソコンがあるその空間は今の私にはもう十分だった。



おまけにこの店はポップコーンとアイスクリームとドリンクバーが取り放題だった。


それに加えて店内は冷房がかなり効いていたから、『必要な方はブランケットもお貸しできます』という張り紙がしてあって私はちょっと泣きそうになった。





いやもう天国かよ…!!

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