第4話

『カヤ、…本当にごめんね?なんか親友の彼氏寝取るみたいですごい申し訳ない』


もしそれが本当なら、“みたい”も何もないじゃん。


そうなんじゃん。



「…うーん…」


でもやっぱり私にはホノカの言葉は信じがたかった。


さっき家を出るときのマコちゃんを思い返せば、やっぱり疑うとかそんなことはできないよ。






———…




「マコちゃん、私コンビニ行ってくるね」


「こんな時間に?一緒に行こうか?」


「ううん、いいよ。マコちゃんやらなきゃいけない仕事残ってるんでしょ?」


「うん、まぁ…じゃあ遅くならないようにね。あと携帯は絶対持って行くこと」


「はーいっ!」


「ははっ、めっちゃ良い返事。ついでに俺にも何か買ってきてよ」


「うん、わかった!」




———…






できない……けど、



「え、てか寝取るってことはつまりはヤったってこと?」


『…うん』


「あー…」



それならホノカの言うことは正しい…というか、ホノカがそう思っても仕方のないことなのかもしれない。


マコちゃん…


私という彼女がいながら他の女に欲情しちゃったかぁ。


まぁ男だし仕方ない部分もあるとは思うけどね。


それが私の友達ってのはちょっとどうかと思うけど、ヤっちまったもんはどうしようもないよね。



「うん、わかった。とりあえず今コンビニにいるからさ、家帰ってマコちゃんの話も聞いて、それからでいいかな?それから、」


『別れてくれるの?』


「……え、」


後ろを振り返りコンビニの店内の時計に目をやっていた私は、思わずそのまま固まった。



『マーくんに話聞いて、そしたらちゃんと別れてくれる?』


「……」



…“ちゃんと”って何だろう。


何でホノカは遠慮もなしに“まだ別れていない私が悪い”みたいな言い方をしているんだろう。




『私ね、別れてほしくて電話したの』


「…うん」


『マーくん優しいから情に流されるんじゃないかって心配で、』


「うん…それはさっき聞いた…」



…その“私の方が彼のことを知ってます”みたいな言い方も気に入らないな。



たしかにマコちゃんは優しい。


シャンプーの詰替買い忘れてても怒らないし、冷蔵庫半ドアにしてても黙って閉めてくれるし、セックスの時だって優しく私に触れてくれるし。



“気持ちいい?”って、


“カヤ可愛い”って、


“好きだよ”って、





…あれ、



最後に言われたの、いつだっけ———…

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