第57話
57
朝が来た。
酷い汗と、夢に何度も起こされながら目覚めたくせに、自分でも驚くような音で腹が鳴った。
『……人間何があっても腹が減る…ってな…』
俺は相葉がくれたサンドイッチを手にベッドに座った。
袋を開けて齧り付いたその味は優しさの固まり。
涙がまたこみ上げて、もうほんと…どうしょうもない。
もっと早く…アイツより早く生まれて
俺が大人だったら…
アイツを助けられたんだろうか?
もっと早く
もっと もっと早く…
何かが
違っていたら
俺達は間違わなかったんだろうか。
こんなに、お互い苦しまなかったんだろうか。
昨日、冷蔵庫に入れなかったコーヒーが
ぬるくて苦笑いが漏れた。
『…おはよう…瑞季』
おはよう…
瑞季。
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