第49話

49



は?

何?

今、なんつった…?

あぁ…病院に行くんだ。確かT病院っつったらデカいとこだよな。

で?瑞季が?


あぁ…陸橋から?


ドックン ドックン ドックン


心臓が…壊れるくらい暴れて…

頭が真っ白で

一言も声にならない


「何があったんだよっ!オメェら教師の俺から見たって明らかに異色なオーラかましてたろがっ!!っんだってこんなっ!喧嘩かっ!別れ話かっ!冗談じゃねぇぞ」


違う

そんなの違う

昨日は腕の中に居た

笑って…


俺は


俺は


外が黒い雲に覆われ始めて、いつの間にか夕立かのような大粒の雨がフロントガラスを叩き始めた。


『生き…てんだよな?』

「……」

『松岡ぁ…生きてんだろ?…なぁ…なぁっ!!

答えろよっっ!!!!』

運転中の松岡の襟を引っ掴んで揺らす。

「落ち着けっ!馬鹿やろう!危ねぇなっ!」

俺は掴んでいた手を力なく解いた。

バタバタ音を立てる雨を…流れる雨を…見つめる。



飛び降りた?

落ちたんじゃなくて?

飛び降りた?


瑞季…

ミズキって心で呼ぶだけで胸の奥がギュウーってすんだよ?

俺、誰より、何より好きだって伝えてきたんだ。


『先生…』

「…ICUだ…それしか分からん」


気付いていたら何か違っただろうか


気付いていたら


俺は今、こんな所に


いたりしないよな…。

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