第48話
48
授業中
ガラガラ
教室の扉が勢いよく開く。
「あ、先生授業中すみません!杉野っ!ちょっと来いっ!」
教室がザワザワした。
その時の教科は何だっけ…確か…英語…あれ?数学?…思い出せねぇ…
松岡が割とテンパってて…
俺は走れって言われて廊下を走った。
松岡のジャージと、頭に結んだ白タオルの結び目が揺れていて、足が縺れそうになりながら、湿気の多い廊下を
ただ走った。
車に乗って、坂を下って…
門扉を出た辺りで俺が息を整えながらボヤいた。
『っおい!…ったく…ハァ…ハァ…急に何なんだよ!この車どこ行くんだよっ!』
運転席の松岡はハンドルをギュッと握って言った。
「おまえ、ちゃんとしろよ…」
『はぁ?何ぃ?』
息苦しくてグイッとネクタイを緩める。
真っ直ぐ走る車が、赤信号に、引っかかった。
松岡は一瞬だけ俺を見て信号に視線を戻すと言った。
「今からT病院に行く」
『…なんで?』
「…市川が」
ゾクゾクっと悪寒が身体中を駆け巡る。
俺は薄ら笑いを浮かべて、松岡を覗き込んだ。
『…なんだよぉ〜、やめろってそういうの!何っ!?瑞季は今日病院だぜ?ちゃんと申請出て』
「その途中で陸橋から飛び降りやがった」
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