第29話

29


「くぅっ…きつ…痛っ…」

息を荒げてしがみついてくる瑞季。

『痛い?…止めよっか…』

「ヤダッ!!ヤダァ…孝也っ…やめ…るなっ!」

ぎゅっと俺にしがみつく腕に力がこもる。

俺の指がやっと一本入った。

綺麗な顔が歪むのがまた興奮を誘って、やめてやりたいのに、それを許さない理性を失った俺が居た。

中でゆっくり動かして解していく。

「んぅっ…ハァッ…くっ…」

『瑞季…』

俺はなるべく優しく二本目を差し込んだ。

「ぁ…あっ何っ!孝也っ!」

『…もしかして…感じてる?』

「やぁっ!ヤダッ!」

『やじゃないだろ?…中、すげぇ…吸い付いてきてる…ココ?……ココだろ』

俺は指を中でクイッと折って壁を撫でた。

「ぁあっ!…はぁっん!んぅっ…すご…ダメだっ!イキそう…にっ!ぁんっ!イクッ!孝也っ!」

瑞季の腹に白濁が吐き出され飛び散った。

息の上がった瑞季が目を腕で隠す。

腹に飛び散った白濁を指先に絡めて、もう一度中をなぞる。

「たかっ!もうっ!ダメだっ!イッたばっか…はぁっん!んぅっ…!」

『瑞季…挿れたい…』

「ハァッ…ハァッ…孝也っ……」

グチュッと先端を押しつけた。

「ぁ…ぁあっ!ハァッ!ぅゔっ!孝っやぁ!」

瑞季の身体に沈めた俺自身は熱く包まれて、キツく締め上げられる。最奥まで押し込んで抱きしめた。

二つに折った身体が、ビクビクとしなる。

膝裏を抑えつけて身体を揺らした。

「ハァッ!あっ!んっ!んっ!くっ…ぁあっ!んぅっ…!ぁんっ!んっあっ!」

瑞季は口を両手で塞いでいるのに声を抑えられず…甘い声で、喘いだ。

涙を流しながら赤く染まる身体を弓なりに反らせて自ら腰を揺らし始める。

俺は我慢出来なくなって瑞季を抱き抱えた。

胡座をかいた上に瑞季を下ろす。

「孝也っ!こっこんなっ!ぁあっ!ハァッ!」

『瑞季の顔…良く見える。自分で動いてみな』

座位になった瑞季は俺の首に腕を絡めて唇を噛み締めると、いやらしく腰を振り始める。

「我慢…出来っないっ!ハァッ孝也っ!孝也っ!」

『…くぅっ!我慢限界なのはっ!こっちだっ!バカッ!ハァッ!ぅゔっ!』

瑞季がビクビクッと身体を震わせると二人の間にはまた白濁が…

「ぁ…俺っ…お…れ…」

瑞季が真っ赤になりながら俺の腹筋を流れ落ちる自分の迸りを見てぎゅっと目閉じた。

俺は黙って頭を抱き寄せる。

サラサラの髪は少し汗ばんでしっとりしていた。

耳元で

「中で…出したな…」

って瑞季が呟くから放心状態だった俺も我に返って

『わっ悪い…抜く前に…我慢…出来なかった』

瑞季が身体を引き離す。

俺をジッと見つめて…苦笑いするようにはにかんで肩を小さく竦めた。



二人でシャワー室に向かった。

初めて身体を重ねた俺達は…暫く会話が無くて…ぎこちなかった。

思ってたより自分がずっと瑞季の事が好きだと…瑞季を想っていたんだと…目には見えない何かを突き付けられて…少し苦しくて、何だか心許無かった。

部屋に戻った俺達は普段通りそれぞれに好きな事をし始めた。

瑞季はパソコンで映画を…俺はやった後だからもあいまって眠くなっていた。


目を閉じると、さっきまでのエロ過ぎる映像が鮮明に蘇る。その上、手のひらを見つめると、瑞季の肌の滑らかさをすぐに思い出してしまってキリがない思考に頭を振った。

ガバッと起き上がる。

『瑞季、俺、自販機行ってくる!』

「え?あ、うん。行ってらっしゃい」

突然の声かけに瑞季は真っ赤な顔で返事をした。

頼むからそんな顔で照れないでくれよ!

俺は唇を噛み締めて部屋を出た。

いちいち綺麗に見える。

いちいち可愛く見える。

なんだよ!あの反応はっ!

身体を重ねたから?気持ちを打ち明け合ったから?もう、幼馴染みじゃないから?


俺の…恋人だから?


頭の中の言葉にカァーッと赤面してしまい、自販機を押す手元が狂った。

ゴトン…

重い音を立てて落ちて来たのは…サイダー…


溜息を吐いてキャップを開けた。

シュワシュワ弾ける気泡が…

爽やか過ぎて苦笑いしてしまう。


『あ!…す、杉野』

寮の入り口、自販機前で隣の部屋102号室の相葉と出会った。

『おぅ、相葉』

『さっサイダー飲んでるの…何か珍しいね!』

俺はサイダーのペットボトルを持ち上げて眺める。

『あぁ…コレな…なんかちょっと…押し間違えちゃってさ』

相葉の顔が何故か赤面している。

いつもわりとあたふたしてる印象だけど…今日は随分オロオロしてんな…。

『そうなんだっ!もう一足早ければかえっこ出来たのにね!俺、最近サイダーだから!杉野はコーヒーでしょ?』

『あぁ…良く知ってんな。』

『そりゃ、うちのクラスで二人揃ってあの顔面偏差値だよ?目立つもん、杉野と市川はさ。休み時間二人で良く飲んでるじゃん。』

肩を竦める相葉は自販機に小銭を入れてボタンを押した。


ゴトン…


ガチャンと音を立ててサイダーを手にした相葉はすぐにそれを煽った。

『おまえと二宮だって十分目立ってるぞ?お前らは、なんつーかほら!華がある感じだもんな。ま、一年の間は…お互い気を張ってこうぜ。…今日みたいな目には絶対…絶対…もう二度と遭わせないっ!』

壁を拳で叩きつけた。

あの忌まわしい教室の記憶が襲ってくる。

ギリッと噛み締めた唇、強張った表情の俺を見て、相葉は肩を落とした。

『頑張んなきゃな…怖い思い…させたくないもんね。』

自信無さげに俯く相葉に、かける言葉が思いつかなかった。

気の利いた…良いヤツが…。

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