第24話

24



特別棟に向かう。

美術準備室に瑞季と入った。

鍵を掛けたのは


瑞季。


机の上に腰掛ける瑞季にゆっくり近付いた。

細い腰に両手で触れる。

見つめ合って…俺は呟いた。

『イブに誘われたアダムは…どうなんの?』


瑞季が窓から差し込む太陽の光に、ミルクティー色の髪をキラキラ反射させながら言った。

画像タイトルを入力…

「楽園から追放される…二人で地獄へ落ちるんだ…」

どちらからともなく額同士を合わせた。ゆっくり鼻先を擦り合う。

甘い吐息が二人の口から零れ落ちて、唇が触れそうで触れないギリギリの距離を保つ。

「地上に落とされる…地獄は…ここなんだよ…イブは…アダムを……道連れにしたんだ…」

『……上等だな…』

「んぅっ………ン………ンぅっ」

クチュ クチュ ピチャ…


俺は…瑞季の唇を深く塞いだ。

顔を傾けて、絡め合う。

もう、無理だ。

お前を友達だとか…馬鹿げてる。

頰に手を掛けて上向かせる。

しっかり応えてくる瑞季の口内が甘い。

「孝…也……ハァッ…孝也…」

『瑞季………俺…おまえのこと…好きだ。』

瑞季が目を細めて微笑む。


「地獄へようこそ…だな」


首に回った華奢な白い腕が俺の身体を引き寄せて来た。

キラキラと輝く髪に指を埋めて撫でる。


耳元で

確かに聞こえた。


「孝也……好きだよ」


好きだよと…

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